子宮筋腫
子宮筋腫は子宮の筋層の中にできた「筋腫の芽」が女性ホルモンの影響で大きくなってきた良性の腫瘍でガンではありません。筋腫ができる部位によって「漿膜(しょうまく)下筋腫」「筋層内筋腫」「粘膜下筋腫」の3つに分けられます。
症状
過多月経と貧血、おりものの増加、排尿障害、便秘、腰痛など。最も多いのが過多月経で、頻繁にナプキンを取り替えないと間に合わない、血の固まりがたくさん出る、というケースがそれにあたります。そのため貧血をおこし、めまいやだるさ、動悸(心臓がドキドキする)といった症状が出ます。
診断方法
問診 あらかじめ問診表を書くシステムをとっているところが多いようですが、お医者さんの質問にはできるだけ具体的に分かりやすく答えましょう。よく質問されることはほぼ決まっていますので、前もって準備して行くと良いでしょう。
外診 外陰部を診察して、炎症がないかなどを確認します。
腟鏡診 「腟鏡(ちつきょう)」という器具を腟内に入れ、お医者さんが腟の中や子宮の入り口などを直接みて、出血の有無や分泌物の状態を知ることができる検査です。
細胞診 腟鏡診の際に綿棒で子宮頸部の表面をこすって細胞をとり、ガンの心配がないかも調べます。10秒ほどで終わりますし、痛みはありません。
直腸診 お医者さんが手術用手袋をつけて、人差し指、または中指を肛門から直腸の中に 挿入します。患者さんが未婚、あるいは若い方のときは内診のかわりに直腸診をすることもありますし、病状によっては内診よりも直腸診の方が、より内膜症の状況を把握できることもあります。
内診 お医者さんが手術用手袋をつけて、人差し指、または人差し指と中指を腟内に入れもう片方の手はお腹の上に置き、診察します。これで子宮の大きさや形、表面の状態や硬さなどを調べることができます。また周囲との癒着(ゆちゃく:炎症などが長期間続いたままだと、普通はくっついていない部位がくっついてしまう)を起こしていないかを知ることもできます。
超音波検査
 (エコー)
超音波を出す「プローブ」という器具をおなかの表面にあてて、 子宮や卵巣などの内臓にあたってはね返ってきた音波をモニターで画像として映し出します。また、経腟エコーといって、細くて長いプローブを腟の中に入れて、中から超音波をあてて見ることもあります。
血液検査 ホルモンのバランスや貧血の有無を調べます。
MRI、CT どちらも身体の断層の写真を撮ることができるのですが、MRIはCTよりもか なり精密な画像が得られます。この検査で筋腫や嚢胞(のうほう:液状成分の入った袋状の腫瘤)の中の状態も分かります。
腹腔鏡検査 特に卵管・卵巣のつまりや癒着などが疑われる場合に行われます。 全身麻酔下でへその下を1.5cmくらい切り、そこからガスを入れておなかをふくらませ、同じ穴から腹腔鏡(ふっくうきょう:胃カメラのようなもので、先端にカメラがついた細い管)を入れてモニターで観察します。鉗子(かんし:はさむ器具)で臓器をつまんで動かしながら観察するので、鉗子を挿入するための穴も同時に開けます。
治療方法
基本的に良性の腫瘍なので、症状がない場合、経過観察という扱いをすることも多いです。
しかし、症状がある場合や、悪性腫瘍の可能性がある場合には治療が必要になります。
*症状に対する治療:鎮痛剤、貧血治療薬(鉄剤)など
*筋腫に対する治療:1)GnRHアナログ(女性ホルモンの分泌を押さえて筋腫を小さくします)
*筋腫に対する治療:2)手術(筋腫だけをとる方法と、子宮を取る方法があります)
それぞれの治療法は筋腫の状態によって向き・不向きがありますので、患者さんとお医者さんが相談してどの方法を使うか決定します。
手術には開腹して行う方法と、腟から行う方法がありますが、それぞれの患者さんの状態、筋腫の大きさなどによってどちらを選択するかが決まります。
手術をすすめられたらお医者さんに積極的に質問して、「なぜ手術が必要なのか、どんな手術をするのか、手術後はどうなるのか」など、よく理解して、納得して受けるようにしましょう。
どうしても納得できなければ別の病院で相談してみるのも一つの手ですが、手術の方法にこだわるあまり、たくさんの医療機関を転々とし、あまりにも長い間筋腫をそのままにしておくのは大変危険です。万一、子宮肉腫だった場合に手後れになってしまった、ということも起こりかねません。
お医者さんは手術中・手術後におこりうる様々な事態を予測して、手術の方法を選択してくれます。手術後に後悔しないよう、十分に話し合って決断しましょう。
生活上での注意(気をつけて!)
経過観察中は3〜6ヶ月ごとに受診し、定期的に画像診断(エコーなど)を受けるようにしましょう。また、月経血の増加やおりものの異常などの症状が出てきたら、すぐ受診しましょう。
貧血を防ぐために、食生活で鉄分補給を心がけましょう。鉄はレバーや赤身の魚、肉類、緑黄色野菜に多く含まれています。
月経痛、腰痛には鎮痛薬を用いますが、月経以外のときでも必要になってきた場合はすぐ受診しましょう。

病気TOPへ